春駒ママの銀座人生。
お母さん「青江」の後、24歳のときに私はスカウトされて、女の子のいる店のママになったのよ。ゲイボーイなのに女の子の店のママよ。その後も「ニューはる」を始めるまでに3軒。カルーセル麻紀は「青江」を辞めた後、どんどん女になっちゃって。私はそれがイヤで、ずっと「ゲイボーイのまま通します」ってやってたわけ。で、女装はしないで、こうして宝塚ならぬ「カマラヅカ」って感じでやってるけど……そのときもね、週刊誌に「銀座最年少ママ現る!24歳(男)」って書かれたわよ。
慎太郎まあ、間違いじゃないですものね(笑)。みんな好きなんですよね。興味あるんですよ。もっと素直になればいいのにとおもいます。
お母さんその頃からずっとやってるけど、同期で現役なのはカルーセル麻紀だけですよ。あいつが男やめて、どんどん女になって、酔っぱらってひっくり返ってデングリ返ってる間に、もう73ですからね。
慎太郎本当に綺麗でいらっしゃいます。波瀾万丈ですけど。
お母さんカルーセル麻紀は、もうトップになっちゃったわよね。だけど現役でゲイバーやってるのは、私が長いかもしれないわね。この「ニューはる」も去年で40周年を迎えることができたし。「吉野」のお母さんは元気だけどお店やってないし、カルーセル麻紀はお店つぶれちゃったぁらね。
慎太郎カルーセル麻紀さんは売れっ子ナンバーワンだから、オーナータイプじゃないのかもしれませんね。
お母さんそういうことよね。ところでうちね、歴代の総理が11人ほどお見えになってるのよ。安倍さん、麻生太郎ちゃん、小泉純ちゃん、みんな仲良しなの。古くは田中角栄さん、中曽根さん、橋本龍ちゃん、みんなそう。
慎太郎自民会館に大手を振って入れるの、お母さんぐらいですものね。
お母さんこないだも行って、カレーライス食って帰ってきましたよ(笑)
慎太郎そういう政財界の人に愛される人って、本当に昔のゲイボーイなんですよね。

春駒さん40周年パーティで。(2014年6月)
お母さんいまの子たちは格好は綺麗だけど、「青江」のお母さんのことも知らないし、「やなぎ」のお母さんのことも知らないし。
慎太郎銀座が昔どんなに素晴らしかったか、厳しかったか、面白かったかってことですよね。日本はバブルのときよりも、その前のほうが景気はよかったんですよね。
お母さんそのころはね、賢い女の子はゲイバーにお話の勉強にくるのよ。そうするとね、私が「青江」のお母さんから学んだみたいに「勉強しなさい。本を読みなさい。本は裏切らないから」って勧めるの。いまの子はゲイバーに勉強になんて来ないもの。
慎太郎素人でいいと思ってるからでしょうね。
お母さん昔の人は怖かったけど優しかった。「青江」のお母さんには今でも感謝してるわ。私がお店で成功しても「春駒、お前がうまくいってるのは後ろに『やなぎ』『青江』の看板があるかだよ」って。でね、お母さん凄かったわ。「私は天下の青江だよ!」って、自分で言ってたもの。人が言うならわかるけど、自分で「天下の青江だよ!」って。私この人に一生ついて行こうと思ったわ、すごく厳しかったけど(笑)
慎太郎愛がありますよね。厳しくても愛のある厳しさはありがたいです。

40周年パーティでツーショット。