












12年前、私が大阪・北新地から右も左もわからずに銀座に出てきてすぐ、アイリーンアドラーさんに呼ばれて、叱られて、そして泣き合いながら抱きしめあったことは、本当に昨日のようです。
それからずっと、「花魁」とお呼びしては、「慎太郎」と声をかけて可愛がってくださいました。美しいものを見るのが好きだった私は、花魁からもっと深い審美眼を教えていただき、美しいものが大好きになりました。
いつまでも美を愛し、求めた画家、金子國義先生。今まで本当にありがとうございました。そしてみんなに描いてくださった数々の作品と一緒に、まだまだ楽しませていただきます。直接お声かけはできなくなりましたが、これからもずっと…ありがとうございます。
ではいつものように、
「先生、行ってらっしゃい!」
矢部 慎太郎
「高野聖」「婦系図」「歌行燈」「天守物語」をはじめ数々の名作で知られる泉鏡花は、1873年(明治6)、金沢で生まれました。 硯友社の尾崎紅葉に師事して作家としての第一歩を踏み出し、苦節を経ながら絢爛とした独自の文学を築き上げました。 その妖美で幻想的な作品群は、今なお多くの読者を魅了し続けています。 生誕140年を記念して開催する今回の展覧会では、鏡花の66年の生涯をたどるとともに、多面的な鏡花作品から代表的な小説、戯曲をクローズアップし、鏡花が紡ぎ出した〈ものがたり〉の水脈をたどります。
会 期 | 2013年(平成25年)10月5日(土)~11月24日(日) 休館日は月曜日(10月14日、11月4日は開館) |
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開館時間 | 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで) |
会 場 | 神奈川近代文学館展示室 |
<矢部 慎太郎より>
この特別展の広告やチケットのメインビジュアルは、私たちのお友達・金子國義先生の油絵です。矢部慎太郎の肖像画として描いていただいた作品がこういう形になり、とても嬉しく思っています。
コシノジュンコ(以下コシノ)私たちの出会いは、6、7年前ですよね。フランス大使館。フランスはイベントに積極的で、ワインの会などによく招待されるのだけど、あの時はKRUGのChampagneのお披露目会だったのね。そこで慎太郎を初めて見かけて、なんか今までフランス大使館では出会ったことのない人がいる!と思って声をかけたのよね。ユニークな人は山ほど知っているけど、慎太郎は本格的にきれいにしていて、凄く目立つじゃないですか。ちょっと話をしただけでなんか気が合っちゃって、ね。
矢部慎太郎(以下慎太郎)そうなんですよ。
コシノね?もう10分ほどお話しただけなのに。
慎太郎「あなたマダム・バタフライみたいね」って言ってくださって。これがジュンコ先生からの最初の一言です。ナンパしていただきました。
コシノほんとナンパしたような感じ。で、さっそく(サロン・ド 慎太郎に)行ったよね。行かないとわかんないもんね。慎太郎っていう人がどこから来た人か。
慎太郎その前に西川の洋ちゃんさんが、「ジュンコさんとご飯行きましょ、紹介してあげる」って言ってくださっていた矢先だったんです。そしたら会っちゃって。あ〜!ジュンコセンセ〜って。
コシノそうそう。金子國義にしても、洋ちゃんにしても、私たちはそれぞれつながっていて、別々で会っていくのよね。
慎太郎そうなの、そうなのよ。不思議〜。
コシノそういうのは相性が合うというのが裏にあって、目に見えないだけ。気が付いたら目の前にいた!って。そういうことなんじゃない?
慎太郎ま、嬉しい。
コシノお互いにいつもお洒落をしてるから、じゃ私も頑張んなきゃって。そういう競い合いっていいよね。
慎太郎みんなお洒落ですもんね〜